ノルレボを必要とする事態が一番多いのは若年者
緊急避妊を必要とする事態は、誰にでも生じます。
しかし、避妊の失敗は年齢が若いほど起きやすいし、
レイプの被害は年齢が若いほど受けやすいかもしれません。
緊急避妊を必要とする事態は、特に若い人に生じやすいものです。
お小遣いの範囲をはるかに超えている
ベネッセ教育研究開発センターの調査によると、
高校生のお小遣いは平均で5,379円です。
ノルレボの平均的な価格は15000程度ですが、
高校生のお小遣いでは手が届かない額です。
貧富によるアクセス格差は不当
1万5千円でも2万円でも負担に感じない人もいるでしょう。
しかし、カツカツの生活をしている女性にとって、
この金額は高すぎます。
金銭的余裕がなければアクセスできない価格は不当です。
避妊へのアクセスは女性の権利です。
だから、誰でも手の届く価格であらねばなりません。
諸外国では低所得者には無償のケースも
アメリカは緊急避妊薬の価格が高い国ですが、
多くの保険は緊急避妊薬をカバーしています。
保険に入っていなかったり低所得の年少者(生徒・学生など)には、
無償で提供されます。
ヨーロッパでも、年少者に対する無償提供の制度を持つ国は少なくありません。
貧困の連鎖を断ち切る
緊急避妊薬にアクセスできなくて妊娠する、
中絶費用がなくて出産する、
子どもの教育に目が届かなくて放任する、
その子が同じ事を繰り返す。
開発途上国ではよくあるパターンです。
格差社会となっている日本でも起きうることです。
違った人生を強いられる
財布の中にいつでも2万円が入っている女性は少ないでしょう。
緊急避妊の費用が出ない女性は、
中絶費用はもっと負担になります。
中絶費用をサラ金で借り、
サラ金の返済のために売春する女性がいても不思議ではありません。
緊急避妊の高いバリアは、社会的弱者の女性を追い詰めていきます。
高い値段は緊急避妊を躊躇させる
ノルレボの高い価格は、緊急避妊が「乱用」されないための政策価格です。
価格を高くすれば持ち合わせのない女性が諦めるだけでなく、
ゆとりのある女性も躊躇してしまうでしょう。
高い価格は、女性が躊躇するように設定された価格です。
躊躇し緊急避妊を見送り、妊娠してしまう女性が出てしまいます。
値段が下がればよい?
緊急避妊の高い価格と処方箋薬は、「乱用」防止のために設定されている2つのバリアです。
たまたま諸外国の10倍の価格になっているわけではありません。
市販薬化を求めない限り、価格が低下することは期待できません。
価格が低下するのは、市販薬化の声が大きくなった場合のみです。
市販化を求める声が大きくなると、
処方箋薬のバリアを残すために値段を下げてくるかもしれません。
値段が下がることは歓迎すべき事です。
しかし、値段の引き下げは、「乱用」防止政策の枠内での対応に過ぎません。
価格低下のもたらす効果
処方箋薬のままの価格低下は、アクセス問題を根本的に解決するものではありません。
しかし、価格の低下で2つの効果が期待できます。
1つは、ノルレボ取り扱い病院の増加です。
ノルレボの病院納入価格は1万円弱です。
病院にとってノルレボを仕入れ在庫とすることは負担になっています。
特に郡部の病院では、在庫負担のためにノルレボ導入を躊躇する病院があります。
価格の低下により、ノルレボ取り扱い病院が増えることが期待できます。
2つ目は、中用量ピルによる緊急避妊の減少です。
現在、ノルレボの価格が高いために中用量ピルによる緊急避妊を選択する女性がいます。
中用量ピルによる緊急避妊は、副作用が強く女性の身体への負担が大きい物です。
ノルレボの価格低下により、格段に副作用の少ないノルレボが選択できるようになります。
保険適用を求めればよい?
現在の健康保険は、疾病の治療費に対する保険です。
健康保険の枠組みが抜本的に見直されなければ、
保険適用はむつかしいでしょう。
万一、保険適用が可能であったとしても、
直接負担金が減少するだけで、間接負担も含めたトータルの負担額は変わりません。
そもそも、ノルレボの異常な高値の是正と保険適用の問題は別問題です。
異常高値のまま保険適用が実現すると、喜ぶのは製薬会社だけです。
ルナベルと同じ低用量ピルのイギリスでの薬価は缶ジュース1本分の価格ですが、
日本では保険適用になり7千円弱の薬価となりました。
価格の是正を求めることが国民の利益と合致します。
避妊を権利と見る視点
避妊は恩恵ではありません。
避妊へのアクセスは女性の権利です。
権利であるから、誰でも等しくアクセスできなくてはなりません。
避妊の失敗により女性は心身ともに大きなダメージを受けます。
女性が妊娠する性であるために、その負担を一方的に負わされるのは不条理です。
さらに、金銭的ゆとりのない女性が大きな影響を受けてしまうのも不条理です。
「乱用」防止政策は、女性の負担を無視する反人権政策です。
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付け足し 産婦人科の敷居が高くなる不幸
バカ高なノルレボ価格は、政策により誘導されたものです。
産婦人科医の責任ではありません。
しかし、一般女性からは産婦人科医しか見えません。
弱みにつけ込む悪徳ビジネスと感じる人も出てくるでしょう。
現状のノルレボに産婦人科医が沈黙すれば、
不信感はさらに大きくなるでしょう。
法外なノルレボ価格は、ただでさえ高い産婦人科医の敷居をさらに高くするでしょう。
産婦人科医にとっても、女性にとっても不幸なことです。
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