2014年12月8日月曜日

図説 緊急避妊薬の早い服用が必要な理由

主要作用機序としての排卵遅延


緊急避妊薬は無防備な性交渉後、早い時間に服用すればするほど効果的です。
服用が24時間遅れる毎に妊娠確率は3倍にもなります(参照)。
服用時間が遅れると何故妊娠率が高くなるのか、
緊急避妊の仕組みから説明してみましょう。
緊急避妊の作用機序には諸説があります。
1つだけの作用ではなく複数の作用が関係している考える方が合理的です。
しかし、排卵の遅延(排卵時期を遅らせる)が、大きな作用機序であることに異論はありません。
排卵遅延の作用機序が服用時間とどのように関係しているのか、
見てみることにします。

緊急避妊をしなかった場合


緊急避妊をしない場合、妊娠率は約8%です。
しかし、排卵前の数日に限れば妊娠率はとても高くなります。
下の図はWilcoxの研究(Wilcox AJ, WEINBERG CR ET AL.,  Timing of sexual intercourse in relation to ovulation. Effects on the probability of conception, survival of the pregnancy, and sex of the baby. NEW ENGL J MED.333. 1517-21,1995)を基に作成したものです。
便宜上時間単位の図としましたが、元の論文では日単位なので排卵は図の0hから24hまでのどこかとなります(原著論文データ)。
この図から分かるように排卵日を含む排卵前3日間の性交渉では、
妊娠確率は30%程度となっています。
図からは精子は少なくとも6日間受精能力を保持することが示されています。
この研究では、排卵日を含む6日間に1度だけの性交渉のあった事例について調べています。
6日間でなく7日間に1度だけ性交渉のあったケースを調べると、
低い確率ながら妊娠例があるかもしれません。
(「ピルとのつきあい方」が旧版から一貫して精子の受精能力は最大7日としてきた所以です)
排卵前の期間に性交渉があれば生じる妊娠の可能性を排除するのが緊急避妊です。

(ケース1)性交渉が排卵120時間前のケース


図は排卵120時間前に性交渉のあったケースを示しています。
この時期の妊娠リスクは最も高い時期の半分程度です。
図の緑色で示したどの時点で緊急避妊薬を服用しても、妊娠は回避できます。
つまり、このケースでいえば性交渉の10時間後に服用しようが、110時間後に服用しようが、
避妊効果に影響がありません。
時間に関係なく服用することで、妊娠リスクは低下します。

 

(ケース2)性交渉が排卵後のケース


下の図は性交渉が排卵後のケースを示しています。
排卵後の性交渉では、もともと妊娠リスクがありません。
したがって、性交渉の10時間後に服用しようが、110時間後に服用しようが、
避妊効果に影響がありません。
以上2つのケースは元々妊娠リスクが比較的低いか妊娠リスクがないケースです。
このようなケースでは、早い時間の服用は必要ありません。

(ケース3)性交渉が排卵72時間前のケース


下の図は排卵72時間前の性交渉のケースを示しています。
このタイミングでの性交渉では、妊娠確率が30%にも達します。
図に緑色で示した範囲が72時間あります。
この72時間のどこかの時点で緊急避妊薬を服用すれば、
妊娠回避の可能性が高くなります。
このケースでは72時間を過ぎると排卵遅延作用は期待できません。
もし緊急避妊薬の作用機序が排卵遅延だけだとすると、
72時間を越えての服用は無効です。

(ケース4)性交渉が排卵48時間前のケース


下の図は排卵48時間前の性交渉のケースを示しています。
このタイミングでの性交渉では、妊娠確率が30%にも達します。
図に緑色で示した範囲は48時間になっています。
この48時間のどこかの時点で緊急避妊薬を服用すれば、
妊娠回避の可能性が高くなります。
このケースでは48時間を過ぎると排卵遅延作用は期待できません。
もし緊急避妊薬の作用機序が排卵遅延だけだとすると、
48時間を越えての服用は無効です。
このケースでは緊急避妊薬は72時間以内の服用で有効とは言えません。
確実に有効なのは48時間以内です。

(ケース5)性交渉が排卵24時間前のケース


下の図は排卵24時間前の性交渉のケースを示しています。
このタイミングでの性交渉では、妊娠確率が30%にも達します。
図に緑色で示した範囲は24時間になっています。
この24時間のどこかの時点で緊急避妊薬を服用すれば、
妊娠回避の可能性が高くなります。
このケースでは24時間を過ぎると排卵遅延作用は期待できません。
もし緊急避妊薬の作用機序が排卵遅延だけだとすると、
24時間を越えての服用は無効です。
このケースでは緊急避妊薬は72時間以内の服用で有効とは言えません。
確実に有効なのは24時間以内です。

以上、妊娠リスクが30%程度と高くなる3つのケースについてみてみました。
妊娠リスクが高い時期の性交渉では、許容される時間は最大で72時間です。
最大72時間であって、実際は72時間より短い時間の猶予しかありません。

 

排卵までの時間は予測できない


上で5つのケースについて検討しました。
猶予時間が120時間あるケースもあるし、72時間のケースもあるし、10時間のケースもあります。
無防備な性交渉があった時点で、何時間の猶予があるのかはだれにも分かりません。
一律に72時間の猶予があるかのような言説が流布していますが、
間違いです。
猶予時間はケースバイケースですが、個々のケースがどのケースなのか判断することはできません。
どのケースにも対応するためには、できるだけ早く服用するしかありません。
早い服用の効果は明白です。


12時間以内の服用なら、妊娠率はわずか0.5%です。
望まない妊娠を1人でも少なくしようと思うなら、
1時間でも早くアクセスできるようにしなくてはなりません。
そのためには、「緊急避妊薬ノルレボを市販薬に! 」する必要があるのです。

2014年12月6日土曜日

銅付加IUDによる緊急避妊

緊急避妊についての第一人者であるJ.Trussellらによる緊急避妊レビュー2014年8月版から、銅付加IUDによる緊急避妊についての記述を翻訳してみました。

銅付加IUD

着床は排卵の6-12日後に生じます。それゆえ、妊娠を防ぐために排卵の5日後まで銅付加IUDは挿入可能です。すなわち、排卵日の3日前に無防備な性交渉がなされたのなら、性交渉の8日後までに挿入されれば、IUDは妊娠を防止するでしょう。しかしながら、排卵日の決定は困難なので、プロトコルの多くは無防備な性交渉後5日までの挿入を推奨しています。最新のWHOガイドラインは(訳註1)、月経周期の12日目までは何の制約もなしに、そして妊娠していないことが確実であればいつの時点でも、IUDの挿入を許容しています。挿入されたIUDは、通常の避妊法として12年間まで効力を発揮させることができます(訳註2)。しかし、IUDは必ずしも全ての女性に理想的ではありません。未治療の性感染症を有している女性は、IUDが適していません。なぜなら、IUDの挿入は骨盤内感染症を引き起こす可能性があり、治療しなければ不妊の原因となります。性感染症の可能性のない女性は、IUD挿入後の骨盤内感染症リスクはほとんどありませんし、未経産女性の銅付加IUDの使用は卵管不妊リスクの増加と関係しません(クラミジア感染があるとしても)。

効果

1976年にこの方法が紹介されて以来、文献上、性交後に銅付加IUD挿入を行った7000例以上が報告されています。失敗はわずか10例が知られているだけであり、この方法の妊娠率は0.1%です。レボノルゲストレル放出IUD(訳註3)を緊急避妊に使用する効果については研究されておらず、推奨されません。

(訳註1)特に緊急避妊としての銅付加IUDについてのガイドラインではない。
(訳註2)日本で認可されているノバT380の有効期限は5年。
(訳註3)日本ではミレーナが認可されている。

http://ec.princeton.edu/questions/ec-review.pdf
 

銅付加IUDによる緊急避妊のメリット


銅付加IUDによる緊急避妊は、緊急避妊薬ノルレボによる緊急避妊より明らかに効果が高いといえます。
ほぼ100%に近い避妊率と言ってもよいでしょう。
しかも、5日までの挿入であれば、挿入までの時間と失敗率の間に関係はありません。
最近は7日まで挿入可とする外国文献も多くなっています。
挿入時に出費は多くなりますが、5年間の避妊コストとして考えれば、
むしろ割安な避妊法です。
未経産婦では挿入に困難はありますが、挿入できないわけではありません。

銅付加IUDによる緊急避妊が主流とならない理由


上に書いたように、銅付加IUDによる緊急避妊にはメリットがあります。
ほぼ完璧に近い避妊効果が得られます。
しかし、銅付加IUDによる緊急避妊が、緊急避妊の主流となっている国はありません。
それには大きな理由があります。
通常の銅付加IUD挿入に際してはあらかじめSTI検査を行い、
また予防的に抗生物質の投与を行います。
銅付加IUDによる緊急避妊では万全の態勢が取りにくいという難点があります。
特にパートナー男性のHIV検査は必須です。
HIVウイルスは抗生物質で予防できません。
男性がキャリアの場合、緊急避妊を受ける女性の検査は無意味です。
しかも、HIVウイルスは感染力の弱いウイルスですが、
IUD挿入時の傷は感染を容易にしてしまいます。
STI検査が普及している欧米でも、
感染リスクを考慮し銅付加IUDによる緊急避妊は普及していません。

日本の危うい状況


避妊ピルは本来安全性の非常に高い薬です。
しかし、避妊ピルの普及を抑える政策が取られたために、
避妊ピルは本来の用途ではないライフデザインドラッグとして宣伝されました。
そのため避妊ピルは諸外国では若年者の避妊法であるのに、
日本では年齢の高い多くの女性がピルを服用しました。
その結果、ピル史上最悪の血栓症副作用被害が生じました。

今また、緊急避妊薬ノルレボの普及を抑える政策が取られています。
ノルレボが銅付加IUDに匹敵する避妊効果を発揮するのは、
より早い時間に服用した場合のみです。
ところが現在の日本では、無防備な性交渉後の早い時間にノルレボを服用するのが困難です。
これではノルレボが銅付加IUDに対抗するのは無理です。
見方によれば、銅付加IUDによる緊急避妊を誘導しているようなものです。
ノルレボの市販薬化を揶揄する産婦人科医の中には、
銅付加IUDという手もあるから市販薬化は必要ないとの意見もあるようです。
それはとても危うい状況を示唆しています。
日本は欧米と比べてSTI検査が格段に普及していない国です。
その日本で、銅付加IUDによる緊急避妊が安易に行われると、
感染症(特にHIV)を引き起こしかねません。
歪んだピルや緊急避妊薬政策は、かえって重大な問題を生じさせます。
だから、一刻も早いノルレボのアクセス改善が必要なのです。

2014年12月5日金曜日

産婦人科医Cap.TAKA氏のご意見

産婦人科医S.Takahashi(Cap.TAKA)氏のホームページ「ウソつきはドクターの始まり」は、1998年に開設されました。サイトはこちらです。
その後、2007年には「ウソつきはドクターのはじまりonブログ」が始まります。
Cap.TAKAは緊急避妊薬の市販薬化を早くから提唱していました。
傾聴に値するご意見なので紹介させて戴くことにしました。


(前略)
緊急避妊ピルなどは欧米ではOTCとして売られています。そういった生活改善薬をもっとOTCとして売っていただければ、我々開業医も、必要なことに時間をかけられるようになると思います。正直な話、現在のところ、大した儲けもない緊急避妊ピルなどに多大な説明を要するうえ、病気ではない状態で投薬するだけに、クレームのもとになりやすいため、大きな負担となっています。ぜひ、こういった薬は、薬剤師の指導のもとでOTCとして売っていただくように認可していただくことを切望しております。(中略)

本当の医療からは少し外れたところにある自費で出すような生活改善薬を医師の処方でしか出せないとする一方で、まともな医療に対する保険点数を減らされるなど本末転倒なことです。(中略)


お願いですから、このような自費の生活改善薬をOTCにしていただいて、まともな医者にまともな医療をさせて欲しいというのが本音です。そして、こういった、本当の医療とは言えないような医療に医療費削減の活路を見出すのではなくて、きちんと医師の技量を保険点数として汲み取っていただくことによって、本当の医療をさせて欲しいというのが最終的な願いなのです。(後略)

混合診療について、厚労省に宛てたメール

(前略)
そんで、TPP。グッドでないの?混合診療を可能にして、厚労省の医療に対する権限を剥奪するべきだよ!そうすると製薬会社が薬剤の値段を好き放題に高く設定するみたいなこと言ってるけど、それは、ウソ!例えば、緊急避妊薬のノルレボ。もっと原価は安いはずなのに、厚労省と医師会が「そんなに簡単に避妊できると、モラルが下がる」とか言って、値段を高く設定しました。で、納入価が1万円以上。くそったれだと思わないですか?アメリカじゃぁ、数千円で手に入れられる薬ですぜ。それから、また、ジェネリックの低容量ピル。先発のピルが十分に売れてないからという理由で、先発品とほぼ同じ値段。じゃぁ、ジェネリックの意味がねぇじゃねぇか!!(中略)

以前から言っているように、例えば、ピルの健診のときにオリモノが多いので検査してもらった。ってのも混合診療だわ。普通なら保険診療で出来るものが、その日に行った診療のすべて…す・べ・て・ですよ!すべて自費診療になるんだわ。こんなバカなことがありますか?ピル使っている人が具合悪くなった。そうだ、今度ピルをもらいに行くときに、一緒に診てもらおう!なんて考えてる人、厚生労働省のクソ役人どもは「それはいかん!そういうことをする奴は、全部自費で払え!」と、言っているんですよ。ホント、日本の保険制度は、そういう意味ではクソです。(後略)


Cap.TAKAが2012の医療を予言する!!

(前略)
例えば、最近発売された月経困難症用の低用量ピル。本当は、自費のピルと同じ程度の値段なんですよ。でも、月経困難症に対する既存の治療に合わせて、本体価格を3倍にした。つまり、本来なら保険診療の3割負担で1000円程度になるはずだった値段が、厚生労働省が製薬会社に便宜を図って値段を釣り上げさせたんです。そして、3割負担の値段が自費のピルと同等の値段の3000円。原価は自費用のピルと大して変わらないんだから、製薬会社は大儲けです。笑いが止まらないよね。そりゃぁ、11億だか何だかの政治献金するはずだわ。(中略)

さらにピルがらみでいうと、某社で出したジェネリックの経口避妊薬。当然ジェネリックなんだから、従来の薬の6~7割の値段設定になるはずですよね。ところが、他の経口避妊薬が十分に利益を出していないという理由で、値段を下げさせてもらえなかったんです。ふざけてますねぇ。ファ**-とか持*とか化*とかあ*かとかがさんざん文句言ったんだろうなぁ。値下げしたら、政治献金してやんねぇぞ!って。
。(後略)

厚労省!俺はお前らが大っ嫌いだっ!!

(前略)
しかし、先に書いたように、アメリカの薬剤費と日本の薬剤費とはかなり違うのですよ。例えば、緊急避妊ピル。政治家と官僚が「簡単に避妊しようとは言語道断!」と文句をつけて、アメリカじゃぁ数千円で買えるのを日本では一万数千円に設定した。なんだ、そりゃ?メーカーに儲けさせてどうすんだよ!!さらに、月経困難症の治療用ピル。アメリカでは避妊用ピルとして使われている薬なんだけど、「日本では、避妊用のピルが思ったように普及していない。」と言う理由で、保険の3割負担で避妊用ピルと同じ値段になるように設定された。つまり、自費で使おうとすると3倍の値段。はぁ、どういうこと?さらに、子宮内膜症の薬。これもアメリカではミニピルとして販売されていて数千円の薬だが、「他の内膜症用の薬と値段を合わせなくてはいけない。」と言う理由で、保険適応になった代わりに値段は一月あたり一万円近く。ホント、日本人て国民皆保険おかげでいい思いしているように思ってるけど、国民皆保険制度のせいで厚労省のいいなりに無茶苦茶やられちまっているというのもあるんですわ。(後略)
 
TPPだからなんじゃい!(後半)


Cap.TAKA氏の提起している観点は3つです。

1.医療資源の観点


Cap.TAKA氏は、緊急避妊薬を市販薬化すれば、「我々開業医も、必要なことに時間をかけられるようになる」と述べています。
緊急避妊薬について、本当に服用の必要があるか医師が判断する必要があるという人がいます。
しかし、それはわざわざ日本で作った日本ルールです。
ほんとうは、すでに妊娠しているかどうか、
月経周期や卵胞とかに関係なく無防備な性交渉があったかどうか、
だけが主なチェック項目です。
それをわざわざ医師が行う必要はないだろうというのが、
諸外国の考えです。
また、医師処方のメリットとして医師による避妊指導ができることを上げる人がいます。
もちろん医師が避妊指導を行ってもよいのですが、
それは医師でなくてはできないことではありません。
諸外国では医師以外の避妊指導専門のスタッフがきめ細かな指導を行っています。
そもそも、ノルレボの処方数は現在10万個強ですが、
潜在需要は年400万個です。
限りある医療資源の有効利用という観点から見ても、ノルレボの処方を産婦人科医に限定するメリットはないように思われます。
Cap.TAKA氏は、「まともな医者にまともな医療をさせて欲しいというのが本音です」と述べています。
婦人科医療の改善という観点からも、重要な指摘です。

2.混合診療の問題


ピルやノルレボは要処方薬であるけれども自由診療の薬です。
日本では、保険診療と自由診療を同時に行う混合診療は、
原則禁止されています。
この原則を弾力的に運用すべきだというのが、
Cap.TAKA氏のお考えのようです。
10数年前、低用量ピルを保険適用にする運動をした患者団体があります。
保険適用要求の主要な理由の1つが混合診療の問題でした。
ピルは混合診療禁止というシステムと相性の悪い薬です。
ピルを混合診療禁止というシステムに合わせるのではなく、
混合診療禁止というシステムをピルに合わせていくべきだと私は考えました。
今もその考えは変わりません。
ノルレボについてだけ言えば、話はもっと単純です。
緊急避妊としてのノルレボを処方薬としてではなく市販薬として利用し、
婦人科の診療は保険診療の適用を受ければよいのです。
ノルレボを要処方薬のままにしておくと、
本来保険で見てもらえる疾病まで保険適用が受けれません。
緊急避妊薬を病院処方限定にすれば婦人科が身近になると考える人がいます。
そうでしょうか?
ノルレボ処方に伴う婦人科診療は全て保険適用外です。
混合診療禁止ですから、本来保険が使える診療内容まで全額自費となります。
普通か普通以下の所得の女性にとって、婦人科の敷居はいよいよ高くなります。


3.政治介入の問題


性に関する問題には、どの国でも程度の差はあれ宗教や政治の介入が見られます。
それに対して医療者は科学的エビデンスを示して対抗してきました。
各国で緊急避妊薬の市販薬化が実現しているのは、科学の勝利と見ることができます。
Cap.TAKA氏は、日本のピルや緊急避妊薬が官僚や政治家の恣意に翻弄されていることを指摘しています。
「政治家と官僚が『簡単に避妊しようとは言語道断!』と文句をつけて」高い価格になっていると指摘されています。
ノルレボのバカ高な価格は政治価格以外の何者でもありません。
緊急避妊薬のアクセスを容易にしても、性が乱れたり乱用されたりすることはありません。
それは諸外国で実証済みの科学的エビデンスです。
ノルレボへのアクセスを制限する必要があるというのは妄想に基づくものであり、
一種の偽科学です。


Cap.TAKA氏は医療の現場で働く一医療人として本音を語ってきた産婦人科医です。
バイアスを排し、現実を直視すれば、ノルレボの市販薬化は自然に導かれる結論であるように思えます。



2014年12月1日月曜日

キャンペーン・バナー

キャンペーンのロゴを作成しました。

アニメgifタイプ
 

ソースは以下の通りです。
<P><A href='href="https://ec-otc.blogspot.com' target="_blank"><IMG src="http://finedays.org/images/otc-anime.gif" border="0"></A></P>


テキストストロークタイプ

このブログではうまく設置できませんので、設置例は以下をご覧下さい。
設置例


ソースは以下の通りです。
<TABLE border="0"><TBODY><TR><TD><A href="https://ec-otc.blogspot.com/"><IMG src="http://finedays.org/images/otclogo.gif" border="0"></A><BR>
      <MARQUEE width="250" bgcolor="#000000"><FONT color="#ffff00">緊急避妊薬は24時間遅れると失敗率が3倍になります。多くの国では、市販薬で価格も日本の1/10です。諸外国並みの緊急避妊薬を実現しましょう。</FONT></MARQUEE></TD></TR></TBODY></TABLE>

2014年11月30日日曜日

ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その4)














































ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その4)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その3)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その2)
 ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その1)

2014年11月29日土曜日

レイプ被害と緊急避妊薬(市販薬化が必要な理由その6)

レイプによる妊娠中絶


平成24年度の統計によると、暴行脅迫を事由とする中絶は180件で、
暴行脅迫による中絶が全中絶に占める比率は0.092%(1万件中9.2件)でした(「衛生行政報告例」)。
しかし、中絶統計は必ずしも実態を反映していません。
秋田県の報告では、暴行脅迫による中絶は約1.33%(1万件中133件)で、
全国平均の14倍余となっています。
秋田県のレイプが全国平均の14倍も多いとは思えません。
一方、埼玉県など15県では、暴行脅迫を事由とする中絶は報告されていません。
15県では、暴行脅迫による妊娠中絶がゼロだったとは思えません。
衛生行政報告例からは、レイプによる妊娠中絶の実態は見えてきません。

レイプの実態


興味深い調査は、「男女間における暴力に関する調査」です。
この調査によると、無理矢理性交された経験のある女性は、7.2~7.3%です。
30歳代に限れば12.1%にも上ります。
無理矢理性交を強いた加害者は、全く知らない人13.8%、顔見知り程度の人13.8%、よく知っている人61.8%となっています。
無理矢理性交の被害にあった時期は、未成年の時期が32.6%を占めます。
被害を誰にも相談しなかったのは62.6%で、警察に連絡・相談したのは4.1%でした。
この調査は、無理矢理性交を強いられ妊娠するケースが相当数あることを示唆しています。


レイプに伴う緊急避妊の必要数


「犯罪白書」によると平成24年に警察が認知した強姦事件は、1240件でした。
強姦被害者が警察に届け出るケースは2%~4%と推測されています。
そうであれば、実際には年間3万件から6万件の強姦事件が起きていることになります。
この数値を基にすると、レイプによる妊娠は2400件から4800件と推測されます。
レイプによる妊娠の大部分が中絶されると考えると、
中絶統計(「衛生行政報告例」)が暴行脅迫を事由とする中絶件数を180件としているのは、余りにも実態と乖離しすぎています。
年間3万件から6万件と推測されるレイプ被害の女性が、
速やかに緊急避妊にアクセスできるようにしなければなりません。


レイプによる妊娠回避は最優先事項


レイプによる妊娠は、年間2400件から4800件と推測されます。
レイプされた上に妊娠してしまえば、女性は二重の苦しみを背負わされます。
何としても妊娠を避ける措置が必要です。
ノルレボタイプの緊急避妊薬を12時間以内に服用した場合、
妊娠率は0.5%との報告があります。
もし、レイプされた女性が12時間以内にノルレボを服用できれば、
年間2400件から4800件の妊娠を150件から300件に激減させることができます。

警察には緊急避妊薬がない


レイプ被害を警察に届け出ると、病院の診察代や緊急避妊薬の代金などが公費で支払われる制度があります。
しかし、警察に緊急避妊薬があるわけではありません。
病院を受診し支払った代金が後日還付される制度です。
緊急避妊薬のより早い、できれば12時間以内の服用をサポートする制度とは、必ずしもなっていません。


レイプ被害者にはサポートが必要


レイプ被害に遭って冷静でいられる女性はいません。
まして、レイプ被害者の約1/3は未成年の女性です。
混乱して何をしなくてはならないか、考えられなくなることも少なくありません。
レイプ被害者にはサポートが必要です。
サポートするのは、警察であってもよいし、病院であってもよいのですが、
現実に警察や病院に直行できるレイプ被害者は多くありません。
友人や家族、支援団体や学校の保健室は、
レイプ被害者の有力なサポーターです。
ノルレボが市販薬であれば、
代理で購入した家族がノルレボを被害女性に手渡すことも可能になります。
全国津々浦々の警察や学校保健室にノルレボを常備することも可能になります。

 

緊急避妊薬とレイプの関連付け言説


「レイプの被害者を救済するために緊急避妊薬は必要だ。」
そうです、その通りです。
そして多くの人が緊急避妊薬について語る時、このように語っています。
緊急避妊薬はレイプ被害者にとって、なくてはならない物です。
だから、そのように語られるのは当然のことです。
しかし、日本ほど緊急避妊薬がレイプと関連づけて語られる国はありません。
緊急避妊薬の意義はレイプを引き合いに出すと理解されやすいという事情があるにせよ、
やや違和感を感じます。
もし、レイプ被害者を本気で救済しようと思えば、
市販薬化は不可避です。
レイプに遭って12時間以内に病院に辿り着けることは、
現実的にはほぼ無理です。
今この文章を読んでいるあなたが今の時間にレイプされたら、
12時間以内に病院でノルレボの処方を受けることができるか考えてみて下さい。
現実のレイプ被害者のことを考えているのなら、
「レイプの被害者を救済するために緊急避妊薬は必要だ」とだけでなく、
「レイプの被害者を救済するために緊急避妊薬の市販薬化が必要だ」と語られるはずです。


恩恵としての緊急避妊薬


きちんと避妊すれば緊急避妊は必要ないと考える人がいます。
コンドームはきちんと使えば失敗しないと考えるのは信仰ですが、
そのような宗教を信じている人もいます。
コンドーム教です。
この宗教の信者は基本的にはピルも緊急避妊も不要と考えます。
彼らにとって、ピルは生理痛の緩和など治療目的でなら許容されます。
彼らにとって、緊急避妊はレイプによる妊娠防止に使われるのなら許されます。
生理痛に苦しむ「かわいそうな女性」に対する恩恵がピルであり、
レイプされた「かわいそうな女性」に対する恩恵が緊急避妊です。
信教は自由ですから、コンドーム教を信じること自体に問題はありません。
しかし、1つ問題があります。
コンドーム教の信者は、ピルは避妊のために必要ないと考えます。
彼らにとって、避妊のためにピルを使う女性は理解できない女性です。
2004年以来ピルの治療効果が強調されましたが、
それと同時にピルはヤリマンの薬との偏見が広まりました。
彼らにとって、避妊失敗のために緊急避妊薬を使う女性は理解できない女性です。
レイプ被害救済のための緊急避妊薬の強調は、
緊急避妊薬への偏見を広めてしまう可能性があります。
きちんと避妊していても避妊失敗はあります。
だから、ピルも緊急避妊薬も必要なのです。
ピルも緊急避妊薬も恩恵ではありません。
しっかり避妊することは女性の権利だから、
ピルも緊急避妊薬も必要なのです。
ノルレボはレイプ専用薬ではありません。


2014年11月21日金曜日

ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その3)
























































(残念ながら?ノルレボの副作用はそれぼとひどくありませんし、長続きもしませんが)


















ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その4)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その3)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その2)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その1)

2014年11月17日月曜日

権利としての避妊意識(市販薬化が必要な理由その5)

性教育は重要です


望まない妊娠をなくすには、性教育は重要です。
このことには、だれも異論はないでしょう。
現在の日本では、避妊についての教育はなされていないか、
なされていても極めて不十分です。
性教育の充実は課題です。

知識だけでは不十分


では、正しい性知識を教えるだけで十分なのでしょうか?
答えは、NOです。
中絶を繰り返す女性がいます。
彼女の避妊についての知識は、必ずしも乏しいわけではありません。
なぜ彼女はしっかり避妊をしないのでしょうか?

大切な自尊感情


望まない妊娠をなくしていくのに、避妊の知識より大切なものがあります。
自分が好きであること、
そしてその自分を自分で守るという意志。
自尊感情とも言います。
避妊は一人で行うものではありません。
女性の自尊感情が弱ければ、知識があっても役に立ちません。

自尊感情は教えられない


きれいな言葉でいくらピルの宣伝をしてもピルは普及しません。
自分を自分で守るという意志がなければ、ピルの服用は長続きしません。
日本にないのは、女性の自尊感情をはぐくむ風土です。
それは一朝一夕にできるものではありません。
自尊感情は教えることのできないものだからです。

緊急避妊薬を通して学ぶ


自尊感情は教えることができません。
生きていく中で経験を通して学ぶものです。
避妊の失敗は自身の身体の危機です。
危機に立ち向かう行動は、自尊感情をはぐくみます。
緊急避妊薬にアクセスし妊娠を回避する行動を通して、
自分の身体を守ることの大切さに気づいていきます。

権利としての避妊


欧米では中絶は長らく禁止でした。
中絶が合法化されるのは、ピルより後の1970年代です。
中絶が禁止されていた時代の妊娠の恐怖を
現代人は想像できません。
その時代の女性達にとって、避妊はとても切実でした。
自分で自分の身体を守るという思想も避妊を権利と考える思想も、
そのような時代背景・社会背景の中で生まれました。

 

恩恵としての避妊


日本では家族計画が国策として採用されました。
避妊も中絶も与えられたものでした。
日本では中絶も避妊も権利ではなく、恩恵でした。
そして、今もやはり恩恵として意識されています。
避妊が権利でなく恩恵である時、
避妊は義務と意識されます。

エンパワーメントに役立たない


日本において避妊は義務です。
日本においてピルは恩恵です。
だから男性にお願いし、医師の指導に従うものです。
そして、緊急避妊薬の扱いもまた恩恵なのです。

避妊の徹底に貢献


緊急避妊薬の市販薬化は、恩恵としての避妊、義務としての避妊から、
権利としての避妊への転換を意味します。
避妊はプライベートな事柄です。
義務や恩恵を強調しても、徹底しにくいものです。
避妊を権利として捉え、自尊感情をはぐくむことが長い目で見れば、
避妊の徹底につながります。

自尊感情と人権意識


劣悪な境遇に置かれ苦しんでいる人々がいます。
彼らは慈善を必要としています。
しかし、慈善は彼らを救いません。
自尊感情をはぐくまない慈善は、むしろ有害なこともあります。
自尊感情と人権意識は密接な関係にあります。
避妊に関して、日本の女性全てが劣悪な環境におかれています。
私たちに必要なものは、恩恵としての緊急避妊ではありません。

 

自らを守るという意識


見方によれば、緊急避妊薬は便利なアイテムです。
見方によれば、ピルも便利なアイテムです。
緊急避妊薬やピルが単に便利なアイテムである時、
それが普及することはありません。
その利便性が負担を上回るとは限らないからです。
緊急避妊薬やピルは女性が自らを守る手段です。
女性の自らを守るという意識こそ重要です。
緊急避妊薬へのアクセスを困難にしている社会では、
自らを守るという意識は育ちません。
緊急避妊薬の市販薬化は意識の転換の第一歩です。

リプロセンターへの一歩(市販薬化が必要な理由その7)

日本は避妊サポートの先進国だった


日本は人類史上初めて、避妊を国策として採用します。
家族計画運動です。
1950年代の日本は、避妊について最も先進的な国でした。
家族計画運動を担ったのは、助産婦や保健婦でした。
当時、主流の避妊法はペッサリーでした。
町内会単位で避妊法の講習会が開かれ、
女性達に避妊法を教えました。
避妊の普及と乳幼児保健の改善はセットで進められました。
単発の講習会だけでなく、日常的な相談・指導が行われました。
しかし、避妊法がコンドームに移るにつれ、
地域での家族計画運動は衰退していきました。

ピル鎖国の40年間


日本がピル鎖国をしていた40年の間に、
日本は避妊先進国の地位を失います。
欧米ではこの間に、地域の避妊相談施設が設立され充実していきます。
避妊相談施設は、単に避妊だけでなくSTD予防、性自認、DVから禁煙まで、
カバーする領域を広げていきました。

 

避妊相談施設のメリット


避妊の問題は純然たる医学問題とは言えません。
場合によっては、人生相談的な内容にわたることもあります。
実は、日本はそのような避妊相談の先進国でした。
1952年に優生保護法の一部を改正し、受胎調節実地指導員制度が創設されました。
1955年の改正では、受胎調節実地指導員に避妊薬(非経口)の販売を認める改正がなされました。
受胎調節実地指導員は、女性達の悩みの相談相手でした。
女性達の声に耳を傾ける受胎調節実地指導員がいたから、
避妊法が日本の隅々まで普及しました。
現在も受胎調節実地指導員の制度は残っていますが、
多分に形骸化しています。
避妊は個々人の社会的・個人的背景が関係しますので、
ソーシャルワーカー的な要素が必要です。

2009年、日本看護協会は受胎調節実地指導員の呼称をリプロ・ヘルス・サポーターとすることにしました。
新しい呼称とともに、実質も蘇ることが期待されています。
緊急避妊薬の市販薬化は、その条件の1つとなります。

参照 町の女性保健室は必要ないですか?

ノルレボの異常価格を是正(市販薬化が必要な理由その2)

ノルレボを必要とする事態が一番多いのは若年者


緊急避妊を必要とする事態は、誰にでも生じます。
しかし、避妊の失敗は年齢が若いほど起きやすいし、
レイプの被害は年齢が若いほど受けやすいかもしれません。
緊急避妊を必要とする事態は、特に若い人に生じやすいものです。

お小遣いの範囲をはるかに超えている


ベネッセ教育研究開発センターの調査によると、
高校生のお小遣いは平均で5,379円です。
ノルレボの平均的な価格は15000程度ですが、
高校生のお小遣いでは手が届かない額です。

貧富によるアクセス格差は不当


1万5千円でも2万円でも負担に感じない人もいるでしょう。
しかし、カツカツの生活をしている女性にとって、
この金額は高すぎます。
金銭的余裕がなければアクセスできない価格は不当です。
避妊へのアクセスは女性の権利です。
だから、誰でも手の届く価格であらねばなりません。

諸外国では低所得者には無償のケースも


アメリカは緊急避妊薬の価格が高い国ですが、
多くの保険は緊急避妊薬をカバーしています。
保険に入っていなかったり低所得の年少者(生徒・学生など)には、
無償で提供されます。
ヨーロッパでも、年少者に対する無償提供の制度を持つ国は少なくありません。

貧困の連鎖を断ち切る


緊急避妊薬にアクセスできなくて妊娠する、
中絶費用がなくて出産する、
子どもの教育に目が届かなくて放任する、
その子が同じ事を繰り返す。
開発途上国ではよくあるパターンです。
格差社会となっている日本でも起きうることです。

違った人生を強いられる


財布の中にいつでも2万円が入っている女性は少ないでしょう。
緊急避妊の費用が出ない女性は、
中絶費用はもっと負担になります。
中絶費用をサラ金で借り、
サラ金の返済のために売春する女性がいても不思議ではありません。
緊急避妊の高いバリアは、社会的弱者の女性を追い詰めていきます。

 

高い値段は緊急避妊を躊躇させる


ノルレボの高い価格は、緊急避妊が「乱用」されないための政策価格です。
価格を高くすれば持ち合わせのない女性が諦めるだけでなく、
ゆとりのある女性も躊躇してしまうでしょう。
高い価格は、女性が躊躇するように設定された価格です。
躊躇し緊急避妊を見送り、妊娠してしまう女性が出てしまいます。


値段が下がればよい?


緊急避妊の高い価格と処方箋薬は、「乱用」防止のために設定されている2つのバリアです。
たまたま諸外国の10倍の価格になっているわけではありません。
市販薬化を求めない限り、価格が低下することは期待できません。
価格が低下するのは、市販薬化の声が大きくなった場合のみです。
市販化を求める声が大きくなると、
処方箋薬のバリアを残すために値段を下げてくるかもしれません。
値段が下がることは歓迎すべき事です。
しかし、値段の引き下げは、「乱用」防止政策の枠内での対応に過ぎません。

価格低下のもたらす効果


処方箋薬のままの価格低下は、アクセス問題を根本的に解決するものではありません。
しかし、価格の低下で2つの効果が期待できます。
1つは、ノルレボ取り扱い病院の増加です。
ノルレボの病院納入価格は1万円弱です。
病院にとってノルレボを仕入れ在庫とすることは負担になっています。
特に郡部の病院では、在庫負担のためにノルレボ導入を躊躇する病院があります。
価格の低下により、ノルレボ取り扱い病院が増えることが期待できます。

2つ目は、中用量ピルによる緊急避妊の減少です。
現在、ノルレボの価格が高いために中用量ピルによる緊急避妊を選択する女性がいます。
中用量ピルによる緊急避妊は、副作用が強く女性の身体への負担が大きい物です。
ノルレボの価格低下により、格段に副作用の少ないノルレボが選択できるようになります。

保険適用を求めればよい?


現在の健康保険は、疾病の治療費に対する保険です。
健康保険の枠組みが抜本的に見直されなければ、
保険適用はむつかしいでしょう。
万一、保険適用が可能であったとしても、
直接負担金が減少するだけで、間接負担も含めたトータルの負担額は変わりません。
そもそも、ノルレボの異常な高値の是正と保険適用の問題は別問題です。
異常高値のまま保険適用が実現すると、喜ぶのは製薬会社だけです。
ルナベルと同じ低用量ピルのイギリスでの薬価は缶ジュース1本分の価格ですが、
日本では保険適用になり7千円弱の薬価となりました。
価格の是正を求めることが国民の利益と合致します。

 

避妊を権利と見る視点


避妊は恩恵ではありません。
避妊へのアクセスは女性の権利です。
権利であるから、誰でも等しくアクセスできなくてはなりません。
避妊の失敗により女性は心身ともに大きなダメージを受けます。
女性が妊娠する性であるために、その負担を一方的に負わされるのは不条理です。
さらに、金銭的ゆとりのない女性が大きな影響を受けてしまうのも不条理です。
「乱用」防止政策は、女性の負担を無視する反人権政策です。

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付け足し 産婦人科の敷居が高くなる不幸

バカ高なノルレボ価格は、政策により誘導されたものです。
産婦人科医の責任ではありません。
しかし、一般女性からは産婦人科医しか見えません。
弱みにつけ込む悪徳ビジネスと感じる人も出てくるでしょう。
現状のノルレボに産婦人科医が沈黙すれば、
不信感はさらに大きくなるでしょう。
法外なノルレボ価格は、ただでさえ高い産婦人科医の敷居をさらに高くするでしょう。
産婦人科医にとっても、女性にとっても不幸なことです。

教育の重要性とノルレボの市販薬化(市販薬化が必要な理由その3)

緊急避妊を必要とする事態は、大きく分けると①無避妊、②避妊失敗、③レイプの3つです。

無避妊の性交渉をなくす教育


①の無避妊の中には、「安全日」だと思っていたというものから、ムードに流されてというものまで、さまざまなケースがあります。
無避妊の性交渉は、教育によって減らすことができるでしょう。
特に、「オギノ式」は切実な避妊要求(どうしても出産できない事情)がある場合には、不適切であることを徹底していく必要があります。
月経周期のどの日にも避妊が必要という教育が必要です。
「オギノ式」の原理と効果を知識として教えるだけの性教育は、むしろ有害です。
ムードに流されてというケースでも、「安全日」の刷り込みが拒否の意志を弱めています。
結果的に「安全日」を刷り込むことになっている性情報(性教育)を克服できれば、
無避妊での性交渉は減少するでしょう。

おおらか「避妊」をなくす教育


抜去法(外出し)や射精時のみのコンドーム装着は、非常に不完全な避妊法です。
しかし、それが一種の避妊法として横行している現実があります。
切実な避妊要求(どうしても出産できない事情)がある場合には、
コンドームの装着なしのペニス挿入は絶対に避けなくてはなりません。
抜去法(外出し)や射精時のみのコンドーム装着にも、
一定の避妊効果があります。
そのため、特に男性にはおおらか「避妊」の信者が少なくありません。
おおらか「避妊」をなくすには、
教育の徹底と粘り強い教育の継続が必要です。


コンドームでの避妊失敗をなくす教育


②の避妊失敗の多くは、コンドームによる避妊失敗です。
コンドームの避妊失敗には、コンドームの破損・脱落・残留があります。
コンドームでの避妊失敗は初心者(使用1年以内)で高いとのデータがあります。
正しい装着法とスキルの習得で、コンドーム事故による避妊失敗は減らせます。
しかし、松葉杖の使い方は実際に松葉杖を使って指導できますが、
コンドームが適切に使用されているかチェックすることはできません。


ピルでの避妊失敗をなくす教育


ピルは効果の高い避妊法ですが、避妊失敗はあります。
4日に1度以上の頻度で性交渉のあるピル初心者の女性がピルだけで避妊すると、
アメリカでは100人中9人が妊娠します※。
その多くに飲み忘れが関係しています。
ピルでの避妊失敗をなくすには、
適切なユーザー教育が必要です。


教育の効果と限界


避妊についての教育は、望まない妊娠を必ず減少させます。
コンドームの避妊失敗は、適切な使用法がなされてないから生じているとも考えられます。
コンドームの適切な使用法が徹底されれば、ピルも緊急避妊も必要ないかもしれません。
しかし、いかに理想的に使用されても年間100人中2人は失敗すると、
一般には考えられています。※
さらに教育を徹底すれば、失敗はゼロに近づくかもしれません。
教育により失敗をゼロに近づけることは理想です。
私たちは理想が実現できるかどうかを誰も知りません。
私たちが知っていることは、現状ではいかなる避妊法も限界を持つということです。

セックスさせない教育


現状ではいかなる避妊法も限界を持ちます。
完璧な避妊法はありません。
望まない妊娠をなくす方法が一つあるとすれば、
セックスしないことです。
セックスしなければ妊娠しません。
セックスしないように教える教育も性教育の一つの考えです。
しかし、いかにセックスしないように教育しても、
セックスがなくなるわけではありません。
避妊法の教育を徹底すれば望まない妊娠がなくなると考えるのと同じように、
セックスさせない教育で望まない妊娠がなくなると考えるのも、
現実離れしています。

 

性教育が不徹底な日本だから


日本の性教育は極めて貧弱です。
貧弱な性教育のために、望まない妊娠が生じていることは事実でしょう。
避妊についての教育をしっかり行っていく必要があります。
性教育が不徹底な日本の現状を憂慮する人々がいます。
そして、そのような人々の間にある種の錯覚が生じています。
性教育を徹底しなくてはならないと考える人には、
性教育が徹底されたら望まない妊娠はなくせるのではないかとの幻想が生じます。
しかし、それは幻想です。
いかに性教育を徹底しても避妊の失敗は生じます。

女性が貧弱な性教育の犠牲になっている


日本の性教育が貧弱なことは事実です。
そして、貧弱な性知識のために意図しない妊娠が生じていることも事実です。
この状況を改善していく必要があります。
大所高所から物事を考える方々は性教育の充実が重要だと述べます。
それは正論です。
しかし、望まない妊娠が現に生じています。
そして、望まない妊娠で悲しい思いをするのは女性です。
貧弱な性教育のしわ寄せは全て女性が引き受けています。
これは公正ではありません。
性知識が乏しい女性がいます。
避妊について十分な知識を持たない女性がいます。
そして望まない妊娠をしてしまう女性がいます。
これを当事者女性の自己責任にしてしまうのは、
公正ではありません。
貧弱な性教育の責任を負うべきは社会です。
女性は性知識を求める権利があります。
そして望まない妊娠を回避するための緊急避妊にアクセスする権利があります。

 

教育とアクセスの優先順位


緊急避妊の市販化でアクセスを容易にするより先に、
性教育の充実を図るべきだとの考えがあります。
一見正論のようにも思えます。
しかし、それは間違いです。
教育とアクセスに優先順位はありません。
現実に妊娠の危機に直面している女性に対して、
緊急避妊へのアクセスを困難にしてよいとの考えは不当です。
現実に困っている女性がいます。
彼女に日本の性教育が充実するまで待てというのは非情です。
いつ充実するか分からない性教育を女性は待つことができません。

 

緊急避妊を通しての教育


学校で行う性教育だけが性教育ではありません。
性教育はさまざまな機会で行えるものです。
現在、ノルレボの処方数は10万強です。
処方時は絶好の教育の機会です。
現状でも教育は行われています。
しかし、その教育の質については検討の余地があります。
お説教も教育と言えば教育です。
通常ピルを勧めるのも教育と言えば教育です。
失敗した避妊法について失敗しない方法を教えるのも教育です。
仮に病院での処方時にベストな教育が行われているとします。
その場合でも、最大10万人強の女性に対する教育です。
緊急避妊薬を市販化し適正価格にした場合、
当初に見込める利用者数は100万人です。
100万人は避妊についての学習動機を持つ100万人です。
この100万人の女性に避妊法について解説したパンフレットを配布すれば、
大きな教育効果が期待できます。

教育が重要だからノルレボの市販薬化が必要


避妊は女性の権利です。
したがって、避妊についての知識を得ることも女性の権利です。
性についての教育は女性の権利であって、義務ではないのです。
女性が性についての知識を得てからでないとノルレボの市販薬化はすべきでないとの考えは、
性についての教育を義務と考えるものです。
女性にそのような義務を課しながら、避妊の権利を制約することはできません。
女性には避妊のアクセスも教育もどちらも必要です。
だから、ノルレボは市販薬であらねばならないのです。


※ Trussell J. Contraceptive Efficacy. In Hatcher RA, Trussell J, Nelson AL, Cates W, Kowal D, Policar M. Contraceptive Techonology: Twentieth Revised Edition. New York NY: Ardent Media, 2011.

産婦人科の敷居を低くする(市販薬化が必要な理由その4)

後日、文章化する予定ですが、骨子は以下のツイート。








2014年11月16日日曜日

呼びかけ人



「緊急避妊薬ノルレボを市販薬に!」キャンペーンは、ノルレボ市販薬化運動の準備活動です。
女性の人権にかかわる活動をしている団体や個人の皆様、医療関係の団体や個人の皆様の理解が広がった時点で、緊急避妊薬協議会(仮称)を発足させ運動としてスタートさせたいと考えています。
緊急避妊薬市販薬化の必要性について理解を広めることが、当面の課題です。
呼びかけ人は市販薬化の必要性について理解を広める活動をともに行い、緊急避妊薬協議会(仮称)の設立にかかわっていただけたらと考えています。

呼びかけ人になって下さる方を募集しています。下記メールアドレスまたはツイッターアカウントへダイレクトメッセージをお願いします。実名でなく活動名(ツイッターアカウントなど)でのご登録で結構です。
・メールアドレス
ツイッターアカウント

呼びかけ人一覧

 ピルとのつきあい方(公式)ruriko pillton 世話人

多摩湖     (@tamako_han) 世話人


yuko     (@yukonyu) 市民
Cook     (?@CookDrake) 市民
sー主婦戦線星組國澤静子    (@sakuya292929?)女性運動
宋美玄   (@mihyonsong医療関係  

産婦人科医   (@syutoken_sanka 医療関係
堀 成美   (@narumita 医療関係
飛鳥  (@asuka_onelife 市民
上村茂仁 上村茂仁   (@kamishige0315 医療関係
UMA甘味堂  (@kanmin765 市民
小林愛季  (@kobayashiaiki 市民
saebou北村紗衣  (@Cristoforou 研究者
 「かなしいこと」 ウェブサイト
らぺーしゅ   (@momokana30 市民
破レ傘  (@kenketsumiyagi)  市民
かこ     (@lovelove_tron) 市民
watari01     (@mejiro_shozan) 市民
鈴折    (@sin_Lv98) 市民
M・S  (emu3816) 市民
御調  (@triarbor) 市民
terrakei  (@terrakei07) ラジオタレント
松代守弘  (@m_m1941) ライター
山口貴史  (@YamaTaka_L_M) 市民
佐々宝砂  (@pakiene)  市民/詩人


2014年11月14日金曜日

ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その2)








































***************************  以下、掘り起こしたツイート ********************************************















ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その4)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その3)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その2)
ノルレボ市販薬化を求める声、声、声。(その1)