どの国でも
緊急避妊薬は避妊失敗の後で飲むものです。
「コンドームを使わなくても、後で緊急避妊薬を飲めばいい」
このように考える男性・女性が現れるのではないか?
そのように心配する人がいます。
21世紀に入ると、世界各国で緊急避妊は爆発的に普及しました。
安い価格で店頭で買えるようになり、
あるいは無償で配布されたりしたからです。
しかし、緊急避妊薬がコンドームの避妊代わりに使用されることは、
どの国でもありませんでした。
なぜなのでしょうか?
どのケースでも
3日に一度のペースでセックスするカップルがいるとします。
「セックスの度毎に、つまり3日毎に緊急避妊薬を服用したら、
避妊できると思いますか?」
どんなに無知な人に聞いても、「できる」と答える人はいません。
2か月に一度のペースでセックスするカップルがいるとします。
「セックスの度毎に、つまり2か月に一度緊急避妊薬を服用したら、
避妊できると思いますか?」
この質問については、「できるかも」と答える人が出てきます。
しかし、実際にコンドームを止めて緊急避妊法に切り替える人はいません。
緊急避妊は妊娠を回避できたかどうかわかるまでに、
数日から3週間程度の時間が必要です。
その間不安な日々を過ごすことになります。
不安な日々を強いられる方法をわざわざ選択する女性はいません。
緊急避妊薬をたとえ無償で配布しても、
コンドーム代わりに使われることはありません。
どの避妊法よりも
緊急避妊薬が常用されることがないのは、
テクニカルに常用が不可能だからです。
それと同時に、常用するには避妊効果が低すぎて使い物にならないからです。
緊急避妊法にはパールインデックスがありませんが、
1回の避妊失敗率2%をパールインデックスに換算すると、
26に相当します。
抜去法(外出し)のパールインデックス22よりもさらに低い数値です。
苦労して抜去法よりも効率の悪い避妊法が常用されることはないのです。
むしろコンドームの使用を促進
緊急避妊はコンドーム使用の抑制になる事はありません。
それどころか、むしろコンドームの使用を促進するものです。
コンドームの使用では一定頻度で破損などの事故が生じます。
コンドームの欠点です。
この欠点を補うものが緊急避妊法です。
コンドームを理想的に使用した場合、4年に一度破損などの事故が生じ、
年間2件の妊娠が生じます(パールインデックス2)。
緊急避妊薬を市販薬化し24時間以内に服用できる体制を作ると(妊娠確率1%)、
コンドームユーザーの,年間妊娠確率は0.25%まで低下します(2x1/8=0.25)。
つまり50人に1件の妊娠を400人に1件まで低下させることができます。
コンドームは緊急避妊でバックアップすれば、
抜群の避妊法になります。
緊急避妊の普及は、むしろコンドームの使用を促進するものです。
緊急避妊薬へのアクセスを容易にするとコンドーム使用が徹底しなくなるので、
ハードルを高くする。
このような考えは、何らの合理性もありません。
妄想に過ぎません。
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