2014年12月5日金曜日

産婦人科医Cap.TAKA氏のご意見

産婦人科医S.Takahashi(Cap.TAKA)氏のホームページ「ウソつきはドクターの始まり」は、1998年に開設されました。サイトはこちらです。
その後、2007年には「ウソつきはドクターのはじまりonブログ」が始まります。
Cap.TAKAは緊急避妊薬の市販薬化を早くから提唱していました。
傾聴に値するご意見なので紹介させて戴くことにしました。


(前略)
緊急避妊ピルなどは欧米ではOTCとして売られています。そういった生活改善薬をもっとOTCとして売っていただければ、我々開業医も、必要なことに時間をかけられるようになると思います。正直な話、現在のところ、大した儲けもない緊急避妊ピルなどに多大な説明を要するうえ、病気ではない状態で投薬するだけに、クレームのもとになりやすいため、大きな負担となっています。ぜひ、こういった薬は、薬剤師の指導のもとでOTCとして売っていただくように認可していただくことを切望しております。(中略)

本当の医療からは少し外れたところにある自費で出すような生活改善薬を医師の処方でしか出せないとする一方で、まともな医療に対する保険点数を減らされるなど本末転倒なことです。(中略)


お願いですから、このような自費の生活改善薬をOTCにしていただいて、まともな医者にまともな医療をさせて欲しいというのが本音です。そして、こういった、本当の医療とは言えないような医療に医療費削減の活路を見出すのではなくて、きちんと医師の技量を保険点数として汲み取っていただくことによって、本当の医療をさせて欲しいというのが最終的な願いなのです。(後略)

混合診療について、厚労省に宛てたメール

(前略)
そんで、TPP。グッドでないの?混合診療を可能にして、厚労省の医療に対する権限を剥奪するべきだよ!そうすると製薬会社が薬剤の値段を好き放題に高く設定するみたいなこと言ってるけど、それは、ウソ!例えば、緊急避妊薬のノルレボ。もっと原価は安いはずなのに、厚労省と医師会が「そんなに簡単に避妊できると、モラルが下がる」とか言って、値段を高く設定しました。で、納入価が1万円以上。くそったれだと思わないですか?アメリカじゃぁ、数千円で手に入れられる薬ですぜ。それから、また、ジェネリックの低容量ピル。先発のピルが十分に売れてないからという理由で、先発品とほぼ同じ値段。じゃぁ、ジェネリックの意味がねぇじゃねぇか!!(中略)

以前から言っているように、例えば、ピルの健診のときにオリモノが多いので検査してもらった。ってのも混合診療だわ。普通なら保険診療で出来るものが、その日に行った診療のすべて…す・べ・て・ですよ!すべて自費診療になるんだわ。こんなバカなことがありますか?ピル使っている人が具合悪くなった。そうだ、今度ピルをもらいに行くときに、一緒に診てもらおう!なんて考えてる人、厚生労働省のクソ役人どもは「それはいかん!そういうことをする奴は、全部自費で払え!」と、言っているんですよ。ホント、日本の保険制度は、そういう意味ではクソです。(後略)


Cap.TAKAが2012の医療を予言する!!

(前略)
例えば、最近発売された月経困難症用の低用量ピル。本当は、自費のピルと同じ程度の値段なんですよ。でも、月経困難症に対する既存の治療に合わせて、本体価格を3倍にした。つまり、本来なら保険診療の3割負担で1000円程度になるはずだった値段が、厚生労働省が製薬会社に便宜を図って値段を釣り上げさせたんです。そして、3割負担の値段が自費のピルと同等の値段の3000円。原価は自費用のピルと大して変わらないんだから、製薬会社は大儲けです。笑いが止まらないよね。そりゃぁ、11億だか何だかの政治献金するはずだわ。(中略)

さらにピルがらみでいうと、某社で出したジェネリックの経口避妊薬。当然ジェネリックなんだから、従来の薬の6~7割の値段設定になるはずですよね。ところが、他の経口避妊薬が十分に利益を出していないという理由で、値段を下げさせてもらえなかったんです。ふざけてますねぇ。ファ**-とか持*とか化*とかあ*かとかがさんざん文句言ったんだろうなぁ。値下げしたら、政治献金してやんねぇぞ!って。
。(後略)

厚労省!俺はお前らが大っ嫌いだっ!!

(前略)
しかし、先に書いたように、アメリカの薬剤費と日本の薬剤費とはかなり違うのですよ。例えば、緊急避妊ピル。政治家と官僚が「簡単に避妊しようとは言語道断!」と文句をつけて、アメリカじゃぁ数千円で買えるのを日本では一万数千円に設定した。なんだ、そりゃ?メーカーに儲けさせてどうすんだよ!!さらに、月経困難症の治療用ピル。アメリカでは避妊用ピルとして使われている薬なんだけど、「日本では、避妊用のピルが思ったように普及していない。」と言う理由で、保険の3割負担で避妊用ピルと同じ値段になるように設定された。つまり、自費で使おうとすると3倍の値段。はぁ、どういうこと?さらに、子宮内膜症の薬。これもアメリカではミニピルとして販売されていて数千円の薬だが、「他の内膜症用の薬と値段を合わせなくてはいけない。」と言う理由で、保険適応になった代わりに値段は一月あたり一万円近く。ホント、日本人て国民皆保険おかげでいい思いしているように思ってるけど、国民皆保険制度のせいで厚労省のいいなりに無茶苦茶やられちまっているというのもあるんですわ。(後略)
 
TPPだからなんじゃい!(後半)


Cap.TAKA氏の提起している観点は3つです。

1.医療資源の観点


Cap.TAKA氏は、緊急避妊薬を市販薬化すれば、「我々開業医も、必要なことに時間をかけられるようになる」と述べています。
緊急避妊薬について、本当に服用の必要があるか医師が判断する必要があるという人がいます。
しかし、それはわざわざ日本で作った日本ルールです。
ほんとうは、すでに妊娠しているかどうか、
月経周期や卵胞とかに関係なく無防備な性交渉があったかどうか、
だけが主なチェック項目です。
それをわざわざ医師が行う必要はないだろうというのが、
諸外国の考えです。
また、医師処方のメリットとして医師による避妊指導ができることを上げる人がいます。
もちろん医師が避妊指導を行ってもよいのですが、
それは医師でなくてはできないことではありません。
諸外国では医師以外の避妊指導専門のスタッフがきめ細かな指導を行っています。
そもそも、ノルレボの処方数は現在10万個強ですが、
潜在需要は年400万個です。
限りある医療資源の有効利用という観点から見ても、ノルレボの処方を産婦人科医に限定するメリットはないように思われます。
Cap.TAKA氏は、「まともな医者にまともな医療をさせて欲しいというのが本音です」と述べています。
婦人科医療の改善という観点からも、重要な指摘です。

2.混合診療の問題


ピルやノルレボは要処方薬であるけれども自由診療の薬です。
日本では、保険診療と自由診療を同時に行う混合診療は、
原則禁止されています。
この原則を弾力的に運用すべきだというのが、
Cap.TAKA氏のお考えのようです。
10数年前、低用量ピルを保険適用にする運動をした患者団体があります。
保険適用要求の主要な理由の1つが混合診療の問題でした。
ピルは混合診療禁止というシステムと相性の悪い薬です。
ピルを混合診療禁止というシステムに合わせるのではなく、
混合診療禁止というシステムをピルに合わせていくべきだと私は考えました。
今もその考えは変わりません。
ノルレボについてだけ言えば、話はもっと単純です。
緊急避妊としてのノルレボを処方薬としてではなく市販薬として利用し、
婦人科の診療は保険診療の適用を受ければよいのです。
ノルレボを要処方薬のままにしておくと、
本来保険で見てもらえる疾病まで保険適用が受けれません。
緊急避妊薬を病院処方限定にすれば婦人科が身近になると考える人がいます。
そうでしょうか?
ノルレボ処方に伴う婦人科診療は全て保険適用外です。
混合診療禁止ですから、本来保険が使える診療内容まで全額自費となります。
普通か普通以下の所得の女性にとって、婦人科の敷居はいよいよ高くなります。


3.政治介入の問題


性に関する問題には、どの国でも程度の差はあれ宗教や政治の介入が見られます。
それに対して医療者は科学的エビデンスを示して対抗してきました。
各国で緊急避妊薬の市販薬化が実現しているのは、科学の勝利と見ることができます。
Cap.TAKA氏は、日本のピルや緊急避妊薬が官僚や政治家の恣意に翻弄されていることを指摘しています。
「政治家と官僚が『簡単に避妊しようとは言語道断!』と文句をつけて」高い価格になっていると指摘されています。
ノルレボのバカ高な価格は政治価格以外の何者でもありません。
緊急避妊薬のアクセスを容易にしても、性が乱れたり乱用されたりすることはありません。
それは諸外国で実証済みの科学的エビデンスです。
ノルレボへのアクセスを制限する必要があるというのは妄想に基づくものであり、
一種の偽科学です。


Cap.TAKA氏は医療の現場で働く一医療人として本音を語ってきた産婦人科医です。
バイアスを排し、現実を直視すれば、ノルレボの市販薬化は自然に導かれる結論であるように思えます。



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